「段取り八分」とは? 段取りを組む力が“現場の差”を生む理由
――段取りが悪いと嘆く前に、言葉の意味を見直そう

前日の現場確認を忘れた次の日、作業開始からトラブル続き。
結局、半日かけてやる予定の仕事が夕方までずれ込み、
「あの時、ちょっと現場を見ておけば…」と悔やんだ。
この一件で痛感したのが、昔から言われる「段取り八分、仕事二分」という言葉の重みだった。
段取りが悪いと、どんなに腕が良くても、成果は半減する。
現場のスピードもチームの雰囲気も、すべて“段取り”次第で変わる。
■ 「段取り」の言い換えは、“準備”ではなく“設計”
よく「段取り=準備」と言われるが、正確には少し違う。
準備は“ものをそろえること”だが、段取りは“全体の流れを設計すること”。
言い換えるなら、「戦略」「シナリオ」「流れの設計」に近い。
現場では、材料の搬入順・人の動き・気温や天候の変化まで読んで、
一日のリズムを組み立てる。
つまり段取りを組むとは、「結果までの地図を描く」作業なのだ。
「段取り八分」とは、作業に入る前のこの“見えない時間”こそが最も大事という意味。
残りの二分の実作業は、準備が整っていれば自然と進む、という現場の教えである。
■ 段取り八分を支える“3つの視点”
段取りが上手い人は、作業前に次の3つを見ている。
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流れを読む目
→ 作業の順序・動線・人の配置を事前にイメージ。 -
リスクを読む目
→ 天気、材料不足、体調など“止まりそうな要因”を洗い出す。 -
余裕を残す目
→ 予備時間・予備道具・心の余白を組み込む。
この3つがあるだけで、現場の段取りは一気に変わる。
八分とは、つまり「事前に八割の成果を決めておく」という意味でもある。
■ 「段取りが悪い人」の特徴
段取りが悪い人は、決して能力が低いわけではない。
むしろ、頭の中だけで完結しようとするタイプに多い。
・前日の準備を「明日でいいや」と後回しにする
・“まあ何とかなる”で動き出す
・人任せで進行を把握していない
現場では、こうした“思いつきスタート”が一番のロスになる。
段取りを組むとは、面倒くさいことを先に済ませる勇気でもある。
そしてもう一つ大切なのは、「自分一人で全部決めようとしない」こと。
他のメンバーとすり合わせをしておけば、段取りのズレは最小限にできる。
■ 段取りを組むコツは、“先に流れを見せる”こと
作業でも会議でも、副業でも同じ。
段取りを組むコツは、先に全体の流れを見える化することだ。
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ホワイトボードに今日の工程を書き出す
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チェックリストを共有して抜けを防ぐ
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終了時刻を先に決めて逆算する
これだけで、現場のテンポが変わる。
段取りを見える形にすることで、他人も合わせやすくなる。
つまり、段取りとは「自分の頭の中をチームに共有するスキル」でもあるのだ。
■ 「段取り力」は現場だけでなく人生にも効く
段取りは現場の専売特許ではない。
旅行の準備、家庭の買い物、家飲みの仕込み――
すべて“段取り力”で差が出る。
段取りが良い人は、予定外のことが起きても焦らない。
逆に、段取りが悪い人ほどトラブルのたびにバタつき、周りを巻き込んで疲弊してしまう。
どんな場面でも、先を読んで余白を残すことが“安心して働くコツ”になる。
現場で学んだ段取りを、生活や副業にも応用していく。
それが「現場サバイヴ」の真の意味だ。
■ 段取り八分、人生二分
段取りという言葉は、単なる“準備”ではなく、“設計の哲学”だ。
段取り八分の精神で物事に臨めば、焦らず、無理せず、結果がついてくる。
「段取りが悪い」と自分を責める前に、
一度“段取りを組む時間”を意識的に確保してみよう。
それだけで、1日の流れも、人間関係も、驚くほど変わる。
現場でも、家庭でも、副業でも――
段取り力こそが、自分の時間を取り戻す技術である。
📘おすすめ書籍・導線
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『トヨタの片づけ』(OJTソリューションズ)
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『仕組み仕事術』(泉正人)
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『ゼロ秒思考』(赤羽雄二)
→ 段取りを「考え方」として磨くのに最適。現場マンにも読みやすい実践本。
“段取り八分”とは、「準備がすべて」ではなく、
「想定しておくことが、すべてを軽くする」という智慧だ。
現場で段取りを学んだ人は、どんな場所でも生き延びられる。
それは、時代が変わっても錆びない“現場の知恵”だ。


