「他人の評価を気にすると作業ミスが増えるのはなぜか?」1日1研究-9

見られているだけで手元が狂った日

ある作業で、クレーンを操作していると後ろに作業長(リーダーの上:偉い人)が立っていた。
おそらく吊り荷の状態がきになり見ているだけなのだが、
なぜか急に手元がぎこちなくなり、普段絶対にしない小さなミスをした。
ノッチの入れ間違いである。
鎮めたい心と裏腹に振れる吊り荷、響き渡る吊り荷と障害物の接触音。

その瞬間、背中が冷たくなり、
心の中では「やらかした……」という感覚。
いわゆる 生きた心地しない というやつだった。

あとで振り返ると、
あの日のミスは技術不足ではなく 評価されている感によるものだった。

そしてこれは、 仕事でミスが多いと感じて落ち込むベテラン でも起こる。
むしろ経験が長いほど「下手に見られたくない」という思いが強くなるため、
注意資源が評価に取られやすい。


 今日の研究テーマ

「他人の評価を気にするとミスが増える理由」
(社会的促進/評価懸念/注意の分散)


結論(簡単に言うと)

人は「見られている」と感じるだけで、
注意力の一部が “どう見られるか” に奪われる。

その結果、

  • 手順が飛ぶ

  • 手元が乱れる

  • 判断が浅くなる
    ミスが増える

これは脳の仕様であり、性格や経験とは関係がない。


背景にある理論

◉ 社会的促進(Social Facilitation)

  • Zajonc(1965)の研究

  • 人は見られることでパフォーマンスが上がる場面もあるが、
     複雑作業や慣れていない作業では逆にミスが増える

現場作業は複雑作業なので、後者が圧倒的に起こりやすい。


◉ 評価懸念(Evaluation Apprehension)

  • コトレル(1972)

  • 「失敗を見られたくない」という心理が働くと、
     注意が二分され、集中が途切れる

特に

  • 仕事 ミス 落ち込むベテラン

  • 完璧主義者

  • やらかした経験がある人

は評価懸念が強くなりやすい。


◉ 注意資源の分散(Cognitive Resource Allocation)

注意力には上限があるため、
「評価を気にする=余計なタスク」が脳に追加される。

すると、
本来100%使えるはずの注意力が
70%くらいしか作業に回らなくなる。

結果としてミスが多くなる。


現場 × 逃避メソッド的ヒント

◆ 現場で使える:

🔹 ① 「見てます」ではなく「観察してます」と伝える

人は“監視”という言葉に過剰反応する。
「効率の流れを観察するだけですよ」と言うだけで緊張が減る。

🔹 ② ベテランでもミスをする脳の正常な反応

経験年数や技術の問題ではなく、
評価ストレスがミスを生むと理解しておくだけで落ち込みが減る。

🔹 ③ ミスが多い日は「一人でやる時間」をつくる

評価の視線を切るだけでパフォーマンスは戻る。


◆ 逃避に使える:

🔹 ① SNS疲れは「評価懸念」の現代版

見られている感覚が脳を疲れさせる。
逃避とは「評価から離れる時間」のこと。

🔹 ② 誰も見ていない場所で作業すると集中が戻る

部屋を変える、カフェに行く、車に逃げる。
それでいい。

🔹 ③ 自分のペースを守れば、ミスは減る

評価ではなく流れに意識を向ける。


今日のまとめ

評価を気にすると集中が分散し、ミスが増える。
だから時々、“誰にも見られない場所”が必要になる。

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