
現場でよく見る光景がある。
手順を省略する人、保護具を着けない人、指差呼称を省く人。
そういう人に限って、こう言う。
「俺は大丈夫。」
しかし、この言葉こそが事故の入口だ。
ルールを守らない人ほど、自分は安全だと思い込む。
これは性格の問題ではなく、脳の仕組みで説明できる。
■ 今日の研究テーマ
なぜ安全ルールを軽視する人ほど「自分は大丈夫」と思うのか?
■ 原因① 楽観バイアス(Optimism Bias)
人間は無意識に
「悪いことは自分には起きにくい」
と思い込む。
「事故は他人のもの」
「自分は運がいい」
「ここまで無事だった」
この錯覚が、ルール軽視を正当化する。
■ 原因② 正常性バイアス
人は異常な状況でも
「いつも通りだ」と判断してしまう。
「これまで事故がなかった」
「問題なく動いている」
「周りも守っていない」
すると「危険」を「日常」と認識しなくなる。
■ 原因③ リスク認知の歪み(Risk Compensation)
安全装置や経験が増えるほど、
人は逆にリスク行動を取る傾向がある。
ガード付き工具で無理な姿勢
ベテランだから確認を省略
安全設備があるから油断
これをリスク補償行動という。
■ 現場で起きる「ベテラン手順省略」の構造
ベテランほど、
- 手順を省略する
- 口頭確認を飛ばす
- 感覚で判断する
しかしこれは能力の高さではなく、
認知バイアスによる自動化の副作用だ。
ヒューマンエラーの多くは、
初心者ではなく「慣れた人」から起きる。
■ 現場で使える対策
① ベテランほどルール遵守を言語化する
「分かっている」は事故の元。
② 手順省略は“指摘対象”にする
能力ではなくリスク行動として扱う。
③ ヒヤリ共有を文化にする
「大丈夫だった」事例こそ共有する。
■ 逃避メソッド的な視点
人間関係、健康、投資でも同じ構造がある。
「自分は大丈夫」と思った瞬間が一番危ない。
逃避とは、リスクを察知して距離を取る高度な判断だ。
怖がるのは弱さではなく、生存戦略。
■ 今日のまとめ
危険を感じない人ほど、危険な場所にいる。

